今週のCJC

今週のCJCは、いつも通り火曜日15時30分から腎臓内科の会議室で開催です。「医学的研究のための多変量解析」輪読会では、交互作用について学びました。論文の批判的吟味では、Journal of American Society of Nephrologyの最新号に記載されている「腎臓病患者における睡眠と予後」の論文です。

輪読会

今週の「学的研究のための多変量解析」輪読会は、第10章「分析の前提をチェックする」の続きです。

  • 10.8 他にどのような仮定があり、分析に用いる独立変数がその仮定をみたいしているかをどのように評価したらよいですか?

交互作用の復習です。複数の変数の交互作用を同時に評価するべきか、それともしないべきなのかについて、著者の意見が述べられています。

論文の批判的吟味

本日の論文は、Journal of American Society of Nephrology (impact factor 8.9) の最新号に掲載されている下記の論文です。有名な米国のコホート研究、Chronic Renal Insufficiency Cohort (CRIC) Studyから発表された論文です。

The Association of Sleep Duration and Quality with CKD Progression. J Am Soc Nephrol. 2017 Dec;28(12):3708-3715.

まずは、Introductionの最終段落からPECOSを把握します。最低限の情報を簡単に入手できます。

  • Patients = CRIC studyの参加者
  • Exposure/Comparator = 睡眠時間と質
  • Outcome = 末期腎不全の進行、死亡
  • Study design = コホート研究

Introductionはたった2段落しかなく、本研究のどこに新規性があるかが全くわかりません。既存の報告では明らかにされておらず、本研究で明らかにした事実に関して言及するべきでしょう。

それでは、Methodsを読み込んで、本研究のPECOSの詳細を把握します。

Patientsは、CRIC研究参加者3459人のうちの537人人ですが、どうやってこの537人を抽出したかは不明です。

Exposure/Comparatorの睡眠時間と質ですが、下記の4種類が測定されています。

  1. 睡眠時間 (wrist actigraphy)
  2. sleep fragmentation (wrist actigraphy)
  3. Pittsburg Sleep Quality Index, PSQI (アンケート)
  4. Epworth Sleepiness Scale, ESS (アンケート)

数十万円する高級運動量計で睡眠時間とsleep fragmentationを測定したというのが、この研究の売りの一つみたいです。

Outcomeですが、末期腎不全の発症と死亡以外にも、eGFRと尿蛋白の変化もアウトカムにしています。非常に残念な事に、変化が定義されておらず、どのように計算したかがわかりません。

続いて結果です。

Table 1の患者背景ですが、末期腎不全の発症の有無の二群間で色々と比較しています。本研究はコホート研究なので、通常exposureで郡分けをして、患者背景を比較します。本研究の様に、アウトカムの発症の有無にしたがって、患者背景を比較するのは症例対照研究の場合です。コホート研究で通常存在する打切り例は必ずしもアウトカム発症無しとは判定できないので、この表は適切とは言えません。

主要な結果はtable 2です。末期腎不全の予測因子として同定されたのは、高級actigraphyで測定されたsleep fragmentationでした。全死亡の予測因子はアンケート調査によるESSスコアでした。

本研究の結果から得られるメッセージは、睡眠の質はPSQIの様なアンケート調査で評価が不十分であり、actigraphyできちんと測定しないといけないですよ!、といったところでしょうか。

ちなみに、先日紹介した私たちの研究がreference 16として引用されていまして、筆頭著者としてはちょっぴり嬉しいものです。

 

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