今週のCJC

今週のCJCは、いつもの通り、1月9日(火)15時30分より腎臓内科学会議室で、疫学統計の教科書「医学的研究のための多変量解析」の輪読会と最新論文の批判的吟味を行いました。どなたでも参加可能ですので、興味のある方は こちら からご連絡下さい。

輪読会

今週の「医学的研究のための多変量解析」輪読会は、第10章「分析の前提をチェックする」の続きです。下記の項目について学びました。

  • 10.3 多重ロジスティック回帰分析と比例ハザードにおける線型性の仮定をどのように判定すればいいですか?
  • 10.4 多重線型回帰分析において外れ値とは何を意味し、それを検出するにはどうすればいいですか?
  • 10.5 多重ロジスティック回帰分析ではどのようにして外れ値を検出すればいいですか?
  • 10.6 比例ハザードモデルにおける残差分析とはどういうものですか?
  • 10.7 外れ値が見つかった場合にはどうすればいいですか?

特に重要なことは、以下の2項目でしょうか。

  1. モデルを作成した時には残差に注目しましょう
  2. 外れ値だからという理由に除外するのは危険です

論文の批判的吟味

今週の論文は、とある大学院生が来週の腎臓内科の抄読会で取り上げる予定のKidney Internationalで発表されたばかりのarticle in pressの論文を批判的に読んでみました。

Winnicki W. et al. Taurolidine-based catheter lock regimen significantly reduces overall costs, infection, and dysfunction rates of tunneled hemodialysis catheters. Kidney Int. (in press)

まずは、introductionからPICOSを把握しますが・・・構成がイマイチなので、すんなりとinterventionとcomparatorを理解できません。methodsとresultsを読んだ後でまとめてみると、以下の通りです。

  • Patients = パーマネントHDカテーテルを挿入した血液透析患者
  • Intervention = 4%クエン酸 + taurolidine (抗菌薬) + ヘパリン (週2回) / ウロキナーゼ(週1回) によるHDカテーテルロック
  • Comperator = 4%クエン酸によるHDカテーテルロック
  • Outcome = 主要:カテーテル感染症、副次:カテーテル機能不全等
  • Study design = ランダム化単盲検並行群間比較試験

Taurolidineは、バイオフィルム合成阻害剤であり、体内投与されても無害な抗菌薬だそうです。

上記の通り単純なPECOSなので、一読でPICOSが把握できるようなintrodcutionの構成にすべきです。PECOSにまとめるとよくわかりますが、本研究では下記の二つのresearch questionを一気に解決しようとしているみたいです。

  1. 一次アウトカム:Taurolidineのカテーテル関連感染症の予防効果
  2. 二次アウトカム:ヘパリン/ウロキナーゼによるカテーテル機能不全の予防効果

上記のresearch questionをそれぞれ別々に厳密評価しようとするならば、2×2 factorial designにすべきですが、本研究ではTaurolidine+ヘパリン/ウロキナーゼの合剤のカテーテル関連感染症およびカテーテル機能不全の予防効果を評価しています。

続いて、Methodsの記載内容を確認していきます。

いろいろとツッコミどころがあるのですが、気になったのはもともと計画されていた追跡期間が記載されていない点です。Sample sizeの根拠としても重要なはずあのですが、どこにも記載されていません。これでは、本試験が、予定終了なのか、早期終了なのか、それとも期間延長されたのかが全くわかりません。

Methodsを把握した上で、結果の図表を評価していきます。

一次アウトカムは、介入群では52例中6例に、比較群では54例中18例において観察され、介入群ではカテーテル感染症の発症率が明らかに低下しました (下図)。ほぼサンプルサイズを計算した時に予測された値です。

カテーテル閉塞に関しても同様の結果です。医療費を含むその他のアウトカムに関しても介入群の成績がよく、臨床的にも医療経済的にも介入による改善が期待できる結果です。

それにしても、主要アウトカムはカテーテル感染症なので、タイトルは “Taurolidine-based catheter lock regimen significantly reduces infection, dysfunction rates of tunneled hemodialysis, and overall costs of tunneled hemodialysis catheters.”の方がいいのではないでしょうか。

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