高齢者IgA腎症患者には血尿+AKIが多い

CJASN (2018 Impact Factor 6.2) に発表されたばかりの論文を紹介します。最近、スペインでは血尿+AKIで発症する高齢者のIgA腎症が増えています。抗凝固療法がそのリスクかもしれません。わずか151例にコホート研究ですが、とても面白い切り口です。

Sevillano AM, Diaz M, Caravaca-Fontan F, et al.
IgA Nephropathy in Elderly Patients.
Clin J Am Soc Nephrol in press

Design: 後ろ向きコホート研究 (the Spanish Group for the Study for Glomerular Diseases: GLOSEN)

Patients: 1990-2015年に診断された65才以上のIgA腎症151例

Exposure: 腎生検時所見、観察期間中の免疫抑制療法およびRAAS阻害薬

Outcome: 末期腎不全あるいは死亡

Results: 血尿+AKI(腎病理組織で赤血球円柱有り)で発症するIgA腎症が近年増加していた(下図)。血尿+AKI発症型IgA腎症53例のうち18例は抗凝固薬を内服していており、その関与が示唆される。

Figure 1. 65才以上の高齢者IgA腎症の診断時に臨床病型

観察期間中央値2年において、末期腎不全+死亡の複合アウトカムは69例(末期腎不全40例+死亡29例)において観察された。診断時の臨床病型では、半月体+AKIの複合アウトカム発症が高かったが、血尿+AKIは他群と同等であった(Figure 2)。

腎生検時の臨床病系と複合アウトカム発症率(ALL, the whole cohort; AUA, asymptomatic urinary abnormality; HR-AKI, hematuria-related AKI; NS, nephrotic syndrome; C-AKI, crescentic AKI)

多変量補正Cox比例ハザードにおいて、高齢、血清クレアチニン高値、尿細管の萎縮・間質の繊維化>25%、RAAS阻害薬に投与無しが複合アウトカム予測因子として同定された。

感想:IgA腎症151例でCJASN (2018 Impact Factor 6.2) に掲載されるだけあって、そのresearch questionは非常に斬新です。高齢者に多い抗凝固療法がその原因である可能性を示唆しており、因果関係も十分にありそうです。しかしながら、複合アウトカムの予測因子のスクリーニングを第一目的として打ち出しているため、多くの解析結果を提示しすぎており、焦点がぼやけてしまっています。Exposureを、血尿+AKIおよび抗凝固療法に絞り込んで、両者の関係を統計学的に深く解析した方が、より興味深い研究になるでしょう。

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