CJC: CKD患者におけるカフェイン摂取量と生存率

本日のClinical Journal Club (CJC)で批判的に吟味した論文は、欧州腎臓学会雑誌であるNephrology, Dialysis, and Transplantation(impact factor 4.6)に発表された下記の研究です。

Caffeine consumption and mortality in chronic kidney disease: a nationally representative analysis. Nephrol Dial Transplant. in press. PMID 30215779

 

INTRODUCTION 1. PECOSを把握する

まずは、introduction最終段落からPECOSを把握しましょう。

  • Participants: 慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)患者
  • Exposure & comparator: カフェイン摂取量
  • Outcome: 死亡
  • Study design: 記載無し

研究デザインは記載されていません。アウトカムが死亡なので、cohort studyかもしれませんし、case-control studyかもしれません。

 

INTRODUCTION 2. 論理展開を把握する

全体的にかなり短めの4段落構成です。

第1段落は、exposure & comparatorに注目している段落です。カフェインはcommonな栄養素であり、健康に影響を与えうるという簡単にまとめています。

第2段落は、participantsに注目している段落です。CKDはcommonで、医療費がかかって、予後不良な疾患であると、非常に簡単にまとめています。

第3段落では、本研究の売りを明らかにしています。(対象の記載がないですが)カフェイン摂取量が多いとCKDの進行が低下していることは既に報告されています(reference 5-8)。しかしながら、CKD患者においてカフェイン摂取量と生命予後に関する報告はないそうです。ちなみに、一般住民おいては、カフェイン摂取量と生命予後は逆相関しているそうです。

第4段落では、本研究の目的(=PECO)を記載しています。

 

各段落がかなり短くなってしまって、ブツ切りな印象うけます。第3段落を分割して、第1-2段落に結合してしまった方がすんなりいきそうです。

第1段落:カフェインはcommonな栄養素であり、健康に影響を与えます。一般住民においては、カフェイン摂取量が多いと、死亡率が低下します。

第2段落:CKDはcommonで、医療費がかかって、予後不良な疾患です。カフェインの摂取量が多いと、腎予後は良好です。一方、CKD患者において、カフェイン摂取量と生命予後の関連については報告がありません。

第3段落:PECOSを明記して、本研究の目的を端的に記載します。

 

METHODS 1. participantsのサンプル法と研究デザインを把握する

対象の包含・除外基準が適切に記載されているかを評価します。選択バイアスの原因になるので、注意深く読みましょう。

本研究では、米国のNAHANES登録者から、18歳以上であり、腎機能低下(eGFR 15-59 mL/min/1.73m2)あるいはアルブミン尿陽性の対象を登録しており、コホート研究であることがわかります。

腎機能正常かつアルブミン尿陰性の対象を除外することによって、下記の二つを同時に比較することができなってしまいます。わざわざ健常人を除外する必要があったのでしょうか?

  • 健常人におけるカフェイン摂取量と死亡の関連
  • CKD患者におけるカフェイン摂取量と死亡の関連

 

METHODS 2. exposure & comparatorの定義を理解する

カフェイン摂取量は24時間の思い出し法で評価しています。

 

METHODS 3.outcomeの定義を理解する

データベースが抽出しており、それなりに妥当そうです。

 

METHODS 4. 統計手法を理解する

暴露・比較因子とその他のベースライン所見の関連を評価する統計手法には関して記載がなく、resultsでも統計学的比較を行なっていません。

暴露因子 vs. 比較因子とアウトカムの関連を比較する方法として、Cox比例ハザードモデルを利用しています。eGFRとアルブミン尿の交互作用も評価しています。ただし、比例ハザード性をどうやって評価したかについては記載がありません。

欠損値はmultiple imputation法によって補完していますが、どの程度欠損値が存在したかは記載がありません。また補完に用いた変数に関する記載もありません。

TABLE 1. 患者背景として適切な変数が提示されているかを評価する

糖尿病や高血圧等の定義が不明です。本来ならばmethodsに記載すべきです。

カフェイン摂取量は多い群には男性が多いです。性別によるサブグループ化解析の結果をメインの結果として提示するのが妥当です。

詳細な栄養学的評価が本研究の売りですから、摂取カロリーを提示してはいかがでしょうか。

 

Figure 2. 生存曲線が適切に提示されているかを確認する

比例ハザード性は成立してそうです。

アウトカム(=死亡)の発症数はかなり多いので、男女別に解析すべきです。

 

Table 2. 多変量補正Cox比例ハザードモデルによる暴露・比較因子とアウトカムの関連を適切に評価する

アウトカムが全死亡の場合、低カフェイン摂取群の死亡リスクのみが著しく高くなっています。一方、CVD死、癌死の場合、高カフェイン摂取群のリスクも高くなっており、U字型の関係になっています。高カフェイン摂取群の死亡率の低下は、CVDと癌以外の死亡による影響みたいですが、本結果からは明らかではなく、非常にモヤモヤします。

 

Figure 2. eGFRと尿アルブミンの交互作用を評価する

eGFRと尿アルブミンの交互作用を評価するのならば、CKDのみならず、非CKDの対象も包含すべきです。

 

本研究において改善すべき点としては・・・

  1. カフェイン摂取量と死亡の関連を、CKDと非CKDにおいて比較すべきである。したがって、CKDのみならず、非CKDも研究対象にすべきであった。
  2. カフェイン摂取量と全死亡、CVD死、癌死の関連がすっきりせず、解析結果の追加が必要だろう。

 

CJCでは毎週こんな感じで、論文を批判的に吟味しています。「自分たちならばどうするか?」と問いかけながら、適切な疫学研究を行うための知識と知恵の習得を目指して、毎週勉強しています。見学を希望される方はこちらにご連絡下さい。

 

 

 

 

 

 

 

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