アルコール摂取量と蛋白尿の発症

今年、私の下で研究をやっていた木村良紀先生が医学博士の学位論文として発表した疫学研究を紹介します。飲酒量と蛋白尿の発症の関連を検討した、とても渋い論文です。

Yoshiki Kimura, Ryohei Yamamoto, Maki Shinzawa, Yoshitaka Isaka, Kunitoshi Iseki, Kunihiro Yamagata, Kazuhiko Tsuruya, Hideaki Yoshida, Shouichi Fujimoto, Koichi Asahi, Toshiki Moriyama, Tsuyoshi Watanabe.

 Alcohol consumption and incidence of proteinuria: a retrospective cohort study.

Clin Exp Nephrol. in press

PMID


タイトル

アルコール摂取量と蛋白尿の発症:後ろ向きコホート研究

背景

アルコール摂取量と蛋白尿の発症の関連性は、これまで相異なる結果が報告がなされており、一定の見解が得られていない。また、大量飲酒(45〜65g/日以上)と蛋白尿の発症の関連性を報告した研究はわずかである。

研究デザイン

後ろ向きコホート研究

対象

2008年4月から2010年3月に特定健診を受診し、尿蛋白≤±、eGFR≥60 mL/分/1.73 m2だった男性88647人、女性88925人

暴露因子

アルコール摂取量

アウトカム

尿蛋白≥1+、≥2+

統計解析

Poisson回帰モデルを用いた生存解析(Stata)

結果

観察期間中央値1.8年(四分位1.0-2.1)において、男性5416(6.1%)、女性3262(3.7%)が蛋白尿を発症した。

多変量Poisson回帰モデルにおいて、男女ともに1日アルコール摂取量19g以下群において、蛋白尿発症のリスクの低下が認められた。

女性では大量飲酒群(60g/日以上)において蛋白尿発症のリスクの上昇が認められたが、男性では認められなかった。

結論

アルコール摂取量と蛋白尿発症の関連を報告した研究としては過去最大規模である本研究は、中等量のアルコール摂取量は蛋白尿発症のリスクが低下した。また女性では大量飲酒(60g以上)が蛋白尿発症のリスクであったが、男性ではそうではなかった。女性は男性よりもアルコールに対する感受性が高い。